株式会社スピカ
碇 聖貴
弊社はインテリアコーディネートと家具の卸売りをしております。「今までに見たことがない家具をつくりたい。」と思い、制作させていただきました。長く、楽しく使っていただけたらと思っております。
PRODUCTS
各号線を象徴する号線カラーのラインと、インパクトたっぷりのガラス窓。おなじみ地下鉄車両の扉から、まさかのインテリア家具が誕生しました。1枚は丸ごとダイニングテーブルに、もう1枚は切断してカフェテーブルとセンターテーブルに。インテリアコーディネート会社と鉄工所のコラボレーションから生まれた大胆アイデアが空間を個性的に彩ります。
※本ページの製品画像は試作品のため、実際の製品と異なる場合があります。ご了承ください。
大阪と東京にオフィスを持ち、個人宅から店舗まで幅広い空間のインテリアコーディネートを手がける株式会社スピカ。同社で営業主任を務める碇聖貴さんが、今回の協業相手である嶋津工業株式会社の嶋津翔太さんに出会ったのは、まだ廃車再生プロジェクトが動き出す前のことでした。
碇
「ある家具の展示会に、嶋津さんがアイアンを使ったちょっと目を引く家具を出しておられたんです。僕自身好きなテイストだったので、声をかけて名刺交換をさせていただいたのが最初です。」
嶋津
「ふだんの仕事では建築関係の鉄骨とかをつくっているんですが、個人的に家具やこまごました雑貨をつくるのが好きで、2~3年前からそういうプロダクトも少しずつ発表しています。」
碇
「僕が車両再生プロジェクトのことを知った時に、最初に思いついたのもアイアンを使った家具だったので、どこに頼もうかと考えて最初に頭に浮かんだのが嶋津さんでした。」
嶋津
「僕自身、工場で出る廃材とか機械部品を家具にしたら面白いと思って、これまでにもいくつか手がけているんですよ。碇さんと出会った展示会に出していたのは、車のタイヤ回りについているデフという部品に、電線を巻いておく丸いパレットを乗せたテーブルでした。だから電車もやってみたいと思いましたね。」
2人でアイデアを出し合い、いくつか企画書を出した中で、地下鉄扉を使ったテーブルが書類審査を通過。試作品製作のために、車両から取り外された扉を工場に引き取ってみたところ、そこには「想定外」がいっぱいでした。
嶋津
「まず扉だけじゃなくて、コマとかゴムとかいろんな部品がついたままでした(笑)。あとは水垢と汚れがウロコのようにこびりついていたので、それを研磨剤を使って落とすところからのスタートで……。きれいにした後は、いらない部分を切断して溶接すればいいかと思っていたんですが、切断面を見てみたら、中空で段ボールのようなものがハニカム状に入ってたんです。紙質のものだと燃えてしまうから溶接は使えない、じゃあどうしようかな、と。」
碇
「中空構造になっているのは、扉を軽くするためなんでしょうね。当初、テーブルの形は僕が考えてアイデアスケッチを描いていたんですけど、中を開けてみたらそういう状態だったので、“どうします?”ってなって、結局、天板をフレームで囲んで留めたんですよね。」
嶋津
「ダイニングテーブルの脚は電車のパンタグラフをイメージして、碇さんと絵を描き合いながら考えてつくったものです。最初はコの字とか4本脚とか、ふつうのを考えてたんですけど、なんか面白くないねって。これ、3Dで角度を合わせるのがむずかしくて、けっこう苦労したんですよ。」
碇
「センターテーブルは、工場で使われていたちょっとダメージのある杉板を塗装して、角パイプに組み合わせています。これは電車から連想した枕木のイメージなんです。」
嶋津
「カフェテーブルは脚をどうしようかなと思っていた時に、ふと工場の隅っこを見たら、これが目に入ったんです。何かの時に父が思いついて、とくにあてもなく作って置いてたみたいなんですけど、“あれ合わせたら絶対かっこいいやん”と思って、すぐ碇さんに写真を送ったら、碇さんも“それでいきましょう!”って。」
碇
「嶋津さんには、本業の忙しい合間を縫って、急なお願いや打ち合わせにも何度も対応していただいて、本当にありがたかったですね。これまで僕たちの仕事は、既製家具からセレクトしてインテリアコーディネートを行うのがほとんどでしたが、今後はこうやって一緒にオリジナル家具がつくれると思うとうれしいです。」
嶋津
「外部のクリエイターさんとタッグを組んでものづくりをするのは初めてでしたが、碇さんの意見を聞いて気づかされることも多くて、いい経験をさせてもらったなと思います。自分ひとりでつくっていたら、どうしてもデザインが自分好みに偏ってしまうんですよね。」
こうして完成した3つのテーブルは、2人が想像していた以上に周囲から好反応を集めることに。
碇
「自分たちはすごくいいものができたと思っていたけど、万人受けはしないと思ってたんです。でも意外にたくさんの方が面白がってくださって……。」
嶋津
「つくった甲斐がありました。ふだん僕たちが仕事でつくっている鉄骨って、建築現場に収めてしまうと、一般の人の目に触れることはほとんどありませんから、こうやって目を留めて、“いいね”って言ってもらえるのはすごくうれしいことなんです。」
碇
「今回の商品はかなりレアで個性が強いものなので、商業施設や飲食店などに似合うかなと思います。ひと目で地下鉄の扉だってわかるものですし、多くの人の目に触れる場所で可愛がってもらえたらって思います。」
嶋津
「Osaka Metroさんにメトロカフェを開いてもらって、そこで使ってほしいですよね!」
Project Partner
弊社はインテリアコーディネートと家具の卸売りをしております。「今までに見たことがない家具をつくりたい。」と思い、制作させていただきました。長く、楽しく使っていただけたらと思っております。
東大阪の鉄工所で培ってきた溶接技術を生かし、SHIMADU FACTORYのオリジナル家具をデザイン・製作する。SHOPやゲストハウス等の金物製作、DIY向けのアイアン製品も製作を行う。「今までにない面白さ」を日々勉強し、新しいことに挑戦し続ける。