SDGs認定企業として

「紋章付置時計」を発案したのは、表彰品メーカー「大橋金属工芸」プロダクツ部の中村さん。「大橋金属工芸」は、プロゴルフトーナメントの優勝カップやトップランナーが競うマラソン大会のメダルなどを製造している会社です。今回、廃車再生プロジェクトに参加した理由を伺いました。

中村
「インテックス大阪で開催された、『大阪マラソンEXPO2023』にて、Osaka Metroクリエイトが販売していた廃車再生プロジェクトの商品を拝見。弊社でも何か取り組みに参加させて頂いただくことができないかと思ったのがきっかけです。
というのも、大橋金属工芸は、社会環境を考慮し、環境に優しい“エシカルアワード”の商品開発と脱炭素社会に向けての企業活動に取り組むSDGs認定企業。
会社として環境に配慮した商品製作が進む中で、廃材をリメイクするOsaka Metroクリエイトとコラボすることで、SDGsを実現する新たな商品が展開できるのではないかと思い、参加しました。」

市電の紋章と計器を生まれ変わらせる

紋章は、Osaka Metroが大阪市交通局だった時代に、車体のドア横に付いていたもので、もう見かけることも少なくなっている貴重なマーク。

運転席に備わっていた計器は、一編成につき数個しか取れない希少部品で、普段は運転士しか触れないものです。

車体の一部として活躍していた２つの廃材が、創業75年の大橋金属工芸の技術により、変貌を遂げました。

設計から製造まで、各部署のプロが一体となって作り上げる

中村
「営業部がお客様の声をお聞きし、企画部、仕入部、貿易部、製造部、彫刻加工部の各部署がその声を形にする。社内の各部署が一体となり、より迅速にかつより高品質な商品提供に向けて改善を重ねていけるのが当社の強みです。」

あらゆるスポーツ競技から企業表彰まで、様々な表彰のステージに対応できる商品や、お客様の希望に沿ったオリジナル商品を展開してきた大橋金属工芸。
今回の紋章付置時計も、企画設計はプロダクツ部門が、紋章の封入は提携している封入工場が、本体の作製は木工工場、最終の検品組み上げ作業は社内で、というように、社内外の各部署が一体となって、商品製作に取り組みました。

たくさんアイディアを練って完成した紋章付置時計ですが、今回は特に、計器の時計部分にこだわったのだとか。

中村
「計器を時計にする内部設計にとても苦労しました。裏側のキャップを生かす事はできないか、少しでもメーターとしての雰囲気を残す事はできないか、加工設計部門の担当者と打ち合わせを重ねました。計器をバラバラにして、図面作成後に試作を繰り返し、微調整をしながら最終の形を作り上げました。
また、電池交換の際には自分で裏側のカバーを外して電池交換をしていただけるように設計。便利さが求められる時代ですが、あえてプラモデル間隔でものを触っていただくアナログ感があっても良いのではないかとの思いが込められています。」

創業75年のUV・レーザー加工技術

中村さんの想いを形にしたのは、表彰品のスペシャルカンパニーとして培った高い技術。

中村
「時計の文字盤の加工にはUV加工を用いました。紫外線を照射して、瞬時に硬化・乾燥する「UV硬化型インク」を使用した印刷方法によって、もともとの計器にはなかった、時計の文字盤部分を製作しました。
また、時計内部にはレーザー加工を用いています。機械内に商品を設置して、レーザー光線を照射して彫刻を施した結果、計器へのこだわりを実現できました。」

市電当時の姿をそのままに

市電の紋章をアクリル内に封入する際にも、大橋金属工芸の技術が光ります。

中村
「ふき取り作業を終えた紋章を、当社の封入技術を用いてアクリル内に加工し、その後研磨することで、当時の姿のままアクリル内に封入することができました。研磨作業は、機械だけに頼らず、職人が1つ1つ丁寧に磨くことで、表面を滑らかに仕上げています。」

紋章部分は、時計から取り外せるのもポイントなのだとか。

中村
「裏側のネジを全て取り外すことで裏板全体が外れ、さらに紋章を固定しているパーツを外すと、紋章を本体から取り出せる構造になっています。文鎮としてお使いいただくことも可能です。」

中村
「何万人の人を運んできた車体の一部にあった市電の紋章と計器を活かし、形を変えて時を刻む置時計を企画しました。なかなか間近で見る機会の少ない計器と紋章を時計としてご自宅に飾れる、とっておきの商品。２つの部品が現役として活躍していた頃に想いを馳せていただける商品になったのではないかと思っています。 ぜひインテリアの一部としてお使いください。」