Osaka Metro クリエイト オリジナル商品

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収納ボックス型椅子 おすわりBOX/高座タイプ椅子 FREE座

ひと目で地下鉄を彷彿とさせる赤いモケット張りの座面と、金属製の台座。4人掛けベンチシートをそのまま生かした長椅子は、鉄道をこよなく愛する鉄道・交通標識メーカーの営業マンが、長年の協業相手である鉄工所に声をかけてつくりあげたものです。

※本ページの製品画像は試作品のため、実際の製品と異なる場合があります。ご了承ください。

20年来の信頼関係があったから、相談できた。

東京に本社を置き、全国に支社を構える株式会社保安サプライは、鉄道や道路の標識を手がけるメーカー。その西日本支社で課長代理を務める關本隆さん、実は筋金入りの鉄道グッズコレクターという素顔も持ち、その界隈ではちょっとした有名人でもあります。そんな關本さんが、大阪メトロの廃車再生プロジェクトの話を耳にして、すぐに行動を起こしたのには、鉄道愛以外にもある理由がありました。ものづくりパートナーとして声をかけたのは、有限会社タカケンの中川標隆さん。

關本
「弊社はふだん鉄道会社さんなどからご依頼いただいたものを作って納品するのが役目ですが、これからは自社起点で標識以外の新しいものづくりにもチャレンジしたいという思いが個人的にずっとあったんです。それで廃車プロジェクトのことを社内の上長にも話しましたら、“面白いからぜひ前向きにやってくれ”と言われました。

まずはひとりで車両見学会に参加してみて、真っ先に使いたいと思ったのがベンチシート。これを加工するうえで、構造面もコスト面もトータルにご相談できる相手として思い浮かんだのがタカケンさんです。タカケンさんには、鉄道標識に付帯する金物を、もうかれこれ20年ぐらいお願いしていまして、我々が金物で培ってきた経験や技術を一緒に生かしたいと思ったんです。」

中川
「うちは父の代に創業して、もともとはマンションの手すりやサッシなどの建築金具を手がけていたんですが、ご縁があって今は鉄道標識メインにシフトしています。關本さんから最初にお話を持ち掛けられた時は、やっぱり面白そうだと思いましたね。そこからは2人でああしよう、こうしようと言いながら進めてきた感じです。」

關本
「単なる椅子でもいいですが、これだけ大きいものを使うなら収納型にしたいというのが私の考えで、クッション部分を丸ごと外せるようにしました。蝶番などはついていませんが、座面裏についている突起がぴたりと台座にはまって、グラグラしないようになっているんです。このあたりの仕上げは、さすがタカケンさんだなと思うところですね。

収納型とは別にロータイプも作ったらどうか、とか、キャスターを付けて動かせるようにしよう、というのもタカケンさんの案です。このキャスターは、人が座るとその荷重でブレーキがかかるという安全性の高いものなんです。」

 中川
「ふだんはどうしても指定通りのものを納品することが求められますが、こういうふうに自分からアイデアを出せるのは遊び感覚で面白くて、本業のいい息抜きになってましたね(笑)。重量が重くなり過ぎないよう、台座にはアルミを使うことにしました。アルミの成型はうちの協力工場にお願いして、うちは全体のサイズ指定や組み上げ溶接、細かい仕上げを担当しています。」

地下鉄の一部だった面影を楽しんでほしくて。

今も深い鉄道愛を持つ關本さんがこだわったのは、地下鉄で使われていた当時の雰囲気をできるだけ残すこと。クッション部分をそのまま生かしている点や、収納型ボックス椅子の台座に通気口をイメージした穴をあけているのも、そんな気持ちの表れです。

關本
「地下鉄の台座がメッシュ状になっているのは、中に暖房器具が入っているからですが、台座に穴をあける作業が増えるとコストが上がりますし、ものを収納することを考えると、あまり中が丸見えにならないほうがいい。コストと意匠を両立しながら、これぐらいがベストだろうというバランスをタカケンさんに探っていただきました。」

中川
「“もうちょっと近づけたいねんけど……”という気持ちをくみ取りつつ、省略すべきところはそぎ落として“らしく”仕上げるという雰囲気作りには頭を悩ませましたね。關本さんに地下鉄の写真をとにかくたくさん見せてもらって、イメージをふくらませました。」

 關本
「地下鉄車両の部材って本当にしっかりとつくられていて、クッションの中のスプリングなんて、“これで本当に30年40年経ってるのかな?”と思うぐらい。ですからそこは手を加えずにそのまま生かしました。生地だけは、どうしても長年の使用で傷んでいるので張り替えています。ただ個人的には、鉄道ファンや御堂筋線を使っていた方など、思い入れのある方向けに、ヴィンテージ生地をそのまま生かしてあえて張り替えないタイプも、お好みで選んでいただけるようにしたいんですよね。」

 中川
「關本さんの熱の入り方を見ていると、ほんまに好きやねんな、というのが伝わってきますよね(笑)。」

リビングから子ども部屋、ガレージまでシーンに合わせて。

これまでも、廃車車両の部材は「廃品販売」というイベントを通じて、鉄道ファン向けに販売されていました。ただそこで買われてゆく「戦利品」は、ただ持っておくだけのコレクションアイテムと化すケースが多いことは、關本さんもよく知るところ。しかし今回2人がめざしたのは、「暮らしの中で使われ、生かされる道具になること」でした。

關本
「おすわりBOXの方は、収納もありますから住まいやお店などで幅広く使っていただきたいです。何でも気軽に放り込めるので、リビングや子ども部屋に便利だと思います。ロータイプに関しては、ローテーブルでくつろぐ時とか、ガレージで何か作業をする時などによさそうですね。」

 中川
「先日の完成品お披露目会では、ほかの参加者の方々がつくった作品からさらに刺激をもらって、また次のものづくりにチャレンジしたい気持ちが湧いてきました。」

關本
「弊社の中でも今回のプロジェクトが突破口になって、ゼロベースから始めるものづくりにチャレンジしようという人が増えてくれたらと思います。我々がふだん手がける金属加工は、やはり生活に直結するものなので、こういった製品を通して日本のものづくりを感じていただけたらうれしいですね。」

Project Partner

私たちが作りました。

株式会社保安サプライ
關本 隆

交通インフラを支える思いが強く2006年に入社。鉄道会社への鉄道標識・サインなど幅広く手掛ける。現在は鉄道技術展への出展、特別展 天空ノ鉄道物語への展示協力など多種多様な分野への前向きな挑戦を続けている。

有限会社タカケン
中川 標隆

金物製造会社として創業した父の背中を見て1989年より従事。主に建築関係の手摺や軽量鉄骨など鉄骨構造物を製造し、鉄道設備や道路設備などに付帯する支柱や特注取付金具などオーダーメイド品を数多く製造している。

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