Osaka Metro クリエイト オリジナル商品

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トレインシェルフ

ステンレスと真鍮の組み合わせに漂う、無骨でインダストリアルな雰囲気。脚が取り外せてコンパクトに収納でき、ベランダからアウトドアまでどこへでも連れていけるこのシェルフに使われているのは、網棚に使われていたワイヤーメッシュ。キャンパーたちの「こんなの欲しかった」を叶えたのは、若手社会起業家と鉄工所の出会いでした。

※本ページの製品画像は試作品のため、実際の製品と異なる場合があります。ご了承ください。

念願のキャンプ道具、廃車の部材でつくるなら?

兵庫県三田市出身の同級生3人が、地元の活性化をめざして2021年に立ち上げた一般社団法人イヒ。まちを活性化する人材の育成や、地域産業の支援などに加え、やりたいこととして掲げていたのが商品企画開発です。

メンバー3人ともキャンプ好きというだけあって、「いつかキャンプ道具を作りたい」と考えていたそう。そんな矢先に廃車再生プロジェクトの話を聞きつけたのが、メンバーのひとり菊地凌輔さん。これぞチャンスと参加を表明しました。

菊地
「ですから車両見学会に参加した時も、最初からキャンプ道具に使えるものを、と絞って探していたところがありました。それで網棚に目をつけたんです。僕らがふだんキャンプする時って、いろんな道具を詰め込んだコンテナから、ガサゴソ探して引っぱり出すことが多くて、棚欲しいよねっていつも言ってたので。」

こうして提出したアイデアが書類審査をパスし、いよいよ試作品づくり。イヒの代表・寺井俊裕さんが相談を持ち掛けたのは、プラント配管など金属加工を得意とする東洋工作所の代表・岩田光正さんでした。 

寺井
「僕らはイヒの活動とは別にそれぞれ本業を持っているんですが、僕がふだん個人で中小メーカーさんのブランディングや戦略立案をお手伝いしている関係で、東洋工作所さんとはすでにお付き合いがあったんです。」

岩田
「僕たちも、本業以外に自分たちの技術を生かして店舗用什器や家具などのオリジナル製品をつくって発表していきたいと考えていたところで、SNS活用やショールーム立ち上げについて、寺井さんにご相談していたんです。ですからお話をいただいてぜひやりたいと思いました。それに僕もキャンプ好きですしね。」

ふだんは人の目に触れない配管の美しさを生かして。

イヒの2人から出た要望は「工業製品らしい無骨さを生かしたい」「脚が取り外せるようにしたい」という2点。岩田さんはすぐに自ら手を動かして工作を始めます。

岩田
「図面がない中で、頭でイメージしたものを形にするには、自分で手を動かすのが一番早いですから。構造的には、天板に脚を斜めに噛ませることで固定できるようにし、セット位置も3段階に変えられるようにしました。これをおふたりに見てもらって、アクセントのパーツは真鍮を使おうとか、そういった微調整を重ねていきました。」

寺井
「この脚の仕様は、一番苦労していただいたところですね。脚の固定点が変えられるので、脚を一番内側にセットすればスタッキングできるし、外側にセットすればシェルフ下のスペースが広く使えます。」

菊地
「脚を木でつくることも可能だったとは思いますが、どこか電車らしさや工業製品らしさは残したいという思いが強かったですね。ステンレスと真鍮だから焚火のそばでも使えますし、こういう配管の継ぎ手が、すごくテイストに合っていると思います。」

岩田
「こういう配管の継ぎ手って、実は電車の車輪部分とか線路にも使われているんですよ。そもそも縁のあるもの同士なんです。」

寺井
「配管って、基本的に壁や床や天井に隠れているもの。でも岩田社長は、隠れているからこそ、“魅せる”ものでないといけないといつもおっしゃっているんです。そういう美学をお持ちだからこそ、今回こういった仕事が見える形で使えてよかったと思います。東洋工作所さんは、技術力をお持ちなのはもちろんですが、それ以上に仕事を楽しんでやろうという姿勢があって、そこが魅力的なんですよね。」

岩田
「それは先代もそうでしたね。とにかく相談が来たらなんでもやってみようというタイプで。時には頼まれてないところまでこだわって、よく赤字出してましたけど(笑)。それにこれからは、ただ受注に応えるだけじゃなくて、まだ世の中にないものを提案して、それを形にしていくというのが僕たちの課題だと思ってるんですよ。自分のつくりたいものをつくる時間があれば、働く時間が楽しいものに変わっていくと思うので。」

今は目にすることも少ないレトロなディテールを楽しむ。

約40年間にわたってたくさんの乗客の荷物を乗せてきた網棚は、こうして「トレインシェルフ」と名付けられ、新たな道具に生まれ変わりました。

寺井
「今回使わせていただいたような網棚って、最近の車両では見かけないですよね。」

菊地
「わざわざワイヤーを曲げる加工も、相当手間とコストがかかっていると思います。少し遊びがあって、荷重がかかるとたわむけれど、実はそこにも意味があって、揺れる車内で衝撃が吸収できて、荷物が滑り落ちないようになってるんだと気づきました。」

岩田
「そういう部分も含めて楽しんでいただきたいですね。僕らのふだんの仕事では、使えなくなったものは置いておく場所にも困るから、すぐにスクラップに持っていってしまうんですが、こういう廃車の部材を生かして、別のものにつくり変えていくというのは、今の時代らしい感性で面白いですよね。」

菊地
「熱や水に強いから、熱いフライパン置いても大丈夫だし、洗ったものを乾かすのにもいい。あとはシェラカップとかフックのついた道具を引っ掛けておけるのも便利なんです。キャンプだけじゃなく、ベランダで使ったり、植物を並べてインテリアとして楽しむこともできると思うので、ぜひいろんな活用法を見つけていただければと思います。」

Project Partner

私たちが作りました。

一般社団法人イヒ
菊地 凌輔/寺井 俊裕

2021年に「ふるさと自慢で溢れる世界をつくる」のビジョンのもと、地元三田市の同級生3名でイヒを設立。WSの企画運営や商品企画・開発、魅力発信を行政・教育機関・地元企業と連携して行っている。

株式会社東洋工作所
岩田 光正

「パイプでワクワクを繋ぎ、未来をソウゾウする」をビジョンに掲げ、全国のプラント設備の製作・工事を行う。「パイプは隠すからこそ魅せる必要がある」の考えのもと自社商品の開発などにも着手している。

Osaka Metro クリエイト 販売スタート! Makuake